ぱいかじ南海作戦：椎名誠著

　この所、図書館に置いてある椎名誠の著書を連続で借りている。
　今回借りたのは「ぱいかじ南海作戦」である。

　離婚と離職。いきなり単身。離婚や離職についての不満はない。　僅かばかりの退職金で侭よと旅に出た先が、南の果て。西表島。　冒頭の滑り出しは椎名節が冴え、引き込まれる。
　この島で出会ったホームレスらしき五人組みとの酒盛りの様子はその楽しさが伝わってくる。
　ただ、このホームレスのグループと主人公が中心になって話が進むのであればそれほど興味が湧かないなあと思いながら読み進む。

　主人公がご機嫌の浜での大宴会の翌朝、自分の持ち物全てを持ち逃げされてしまった。どうしようかと迷っている所へ、新たな若者放浪者オッコチ君がやってくる。今度は無一文の自分が先のホームレスの立場になりオッコチ君を利用しながら島の生活に引き込む。

　さらに関西弁で喋る娘二人がこの島にやってくる。
　何か訳有りな娘たちもこんな島の自由な自然生活に興味を示し、不思議な共同生活が始まる。

　ここら辺りから椎名ワールドにどっぷりと入り面白くなってくる。
　島の人との交流も垣間見え、漁師とのやり取りが微笑ましい。最後に例の五人組みも逃げ疲れて元の場所に戻ってくる事になる。最高に面白いとまではいかないにしても、最後まで読ませるものはあった。

　随所に出てくるビールを飲む場面は、いかにも旨そうである。こう言う場面を書かせればこの人はピカ一ではないだろうか。この辺がビール好きの自分とサイクルが合うのかもしれない。
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