どうという事もない日々の記録

[ はてなブログ版] 出かけた時の記録や備忘録的なメモなど。

秘書課の男

知事秘書課長倉内忠信の話。実直に知事秘書の仕事をこなし、知事に仕えていることで一種の喜びを感じている。が、ここ二三日前から知事から疎まれる場面に出くわす。自分にはその原因が分からない。
新しく秘書課に入った「総務部の若きエース」桂木敏一の存在が気になる。知事は何かにつけて桂木を呼び自分は外される。そんな思いの中で知事選の支持者でも有った中小企業の社長が自殺する。
抜擢された人間が、その後に更に若い新人が入って来て抜擢される。それに対する嫉妬。それと同じ事を自分が抜擢された時のことを思い出す。

家庭、組織の中、そこで得られたある種の安定感。それがくずれようとする時、くずれた時の人々の反応、そういう時を色んな角度から横山秀夫は眺めているようだ。どの作品も一気に読ませる中味はあった。